「どの資格を取ろうかな?」と悩んで、社会保険労務士という資格が良さそうだと思った。
でも、実際どのくらい難しいのだろう?
結論は、
- 難易度は高めだが、努力をすれば取得可能なレベル。かつ、資格取得に価値がある。
というものです。
以下、受験生の属性や、合格率、社労士試験の内容などから、分析しています。
目次
社労士試験の受験者数と合格者数は?合格率は?
直近10年間の、社労士試験の受験者数・合格者数・合格率を表にまとめると以下の通りです。
受験者数は4万人前後、合格率は5-10%程度となっています。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成20年度 | 47,568名 | 3,574名 | 7.5% |
平成21年度 | 52,983名 | 4,019名 | 7.6% |
平成22年度 | 55,445名 | 4,790名 | 8.6% |
平成23年度 | 53,392名 | 3,855名 | 7.2% |
平成24年度 | 51,960名 | 3,650名 | 7.0% |
平成25年度 | 49,292名 | 2,666名 | 5.4% |
平成26年度 | 44,546名 | 4,156名 | 9.3% |
平成27年度 | 40,712名 | 1,051名 | 2.6% |
平成28年度 | 39,972名 | 1,770名 | 4.4% |
平成29年度 | 38,685名 | 2,613名 | 6.6% |
社労士試験の受験者数
受験者数は、ここ10年で若干減少傾向にありますが、依然4万人近い方が毎年資格取得を目指して受験しています。
社労士試験の合格者数
合格者数は1000人から4000人と年度によってばらつきがあります。
社労士試験の合格率
平成20年から24年は、7-8%で安定していましたが、ここ5年は2.6%-9.3%と不安定で、いわゆる「当たり年」と「ハズレ年」が出てしまっています。
ただ、難化した翌年は回復傾向にもあるので、あいにく1年目に難しい年に当たってしまったとしても、2年間勉強を続ければ、合格のチャンスはあると言えます。
社労士試験の受験に資格は必要?
社労士試験を受験するためには、一定の資格が必要になります。
大きく分けて3つ。
- 学歴
- 実務経験
- 厚生労働大臣の認めた国家試験合格
です。
いずれかを満たしていれば、受験することが可能です。
社労士受験に必要な資格①学歴
大学、短大、もしくは5年制の高等専門学校を卒業している方、一定の単位を取得した方は、社労士試験を受験することが可能です。
卒業証明書などの提出により証明します。
社労士受験に必要な資格②実務経験
3年以上の実務経験がある方は、社労士試験を受験することが可能です。
この場合、勤務先等に、実務経験があることを証明する書類(実務経験証明書)を提出することが必要になります。
社労士受験に必要な資格③厚生労働大臣の認めた国家試験合格
国家公務員、公認会計士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、中小企業診断士、など、計79種類の試験のいずれかに合格している人は、司法書士試験を受験することができます。
詳しくは、オフィシャルサイトをご確認ください。
社労士試験の合格者の性別と年齢
社労士試験の合格者は、年代で見ると、30歳−40歳の方が一番多く、男女比は6.5:3.5といったところ。
士業の中では、女性の割合がとても高いです。
厚生労働省報道発表資料から、過去3年間の社労士試験合格者の属性をまとめた表がこちら。(単位:%)
2017年度 | 2016年度 | 2015年度 | |
20歳代以下 | 10.0 | 9.1 | 9.6 |
30歳代 | 30.7 | 31.4 | 32.5 |
40歳代 | 31.2 | 32.3 | 30.9 |
50歳代 | 19.6 | 18.8 | 18.0 |
60歳代以上 | 8.5 | 8.4 | 9.0 |
男性 | 63.8 | 66.1 | 67.2 |
女性 | 36.2 | 33.9 | 32.8 |
育休中などに、社労士の資格取得を目指す方も多いですね。
育休中の社労士資格取得や、女性に社労士が向いているのか?については、別に記事も書いていますので、参考にしてくださいね。
>>育休中に社労士の資格をとることの意義。女性に社労士は向いている?
社労士試験の難易度は高い?
社労士試験の受験には大卒レベルの資格が必要であり、その中で合格率が5-10%となりますので、一般的に言えば、難易度は高い試験となります。
また、国民年金など社会保障関係の法律を学習しますので、法改正の頻度が多いのも特徴です。
社労士試験の特徴をまとめると
<div class=”concept-box1″><p>
- 社会保障関係の法律を幅広く、数字を含めて細かく暗記が必要
- 頻度の多い法改正に対応することが必要
- 年に1度の試験で1度で全科目基準点を超えることが必要
</p></div>
となります。
例えば、税理士試験や中小企業診断士試験などは、「科目合格制」というシステムがあり、1年目に2科目合格したら、2年目はその他の科目に合格すれば良いのです。
しかし、社労士試験はそのように合格科目を持ち越すことができないため、1年で10科目すべての基準点を超え、全科目合計で7割近く得点しなければなりません。
つまり、全科目バランスよく学習する必要があり、戦略も必要になります。
ここが、社労士試験が難しく、独学での合格が厳しいと言われる所以です。
ただし、社労士試験は、税理士試験や司法書士試験などと違い、いわゆる「専業受験生」が少ないのもポイントです。
社労士資格の受験生の大半は30代や40代であり、会社員であったり、子育て中の主婦であったりと忙しい日々の中から時間を捻出して、受験勉強に励んでいます。
社労士試験は「実質的には相対評価」の試験ですので、同じ受験生の中から、上位1割になれば良い。
上位1割というと難しく聞こえるかもしれませんが、記念受験生も半分以上いるのが現状ですので、真面目に試験を受けるレベルまで達した人の中で上位2割くらいです。
真剣に取り組めば、決して合格できない試験ではなく、さらに言えば、合格する価値のある資格です。
なぜ、社労士試験の合格に価値があるのか?
社労士の資格取得のための勉強は、実務に直結するから。
社労士試験の合格に価値があるのは、社労士試験が実務に直結する内容だからです。
社労士試験で学ぶのは、社会保障関係の法律であり、人事・労務・社会保険に関する知識です。
これらの知識を身につければ、総務部で働く際の実務に直結するので、総務部への異動や転職にプラス要因になりますし、その部署で働かずとも、勤め人としての自分の立場を守る武器になります。
社労士とよく並べられる資格に、行政書士、中小企業診断士があります。
難易度はどれも同じくらいですが、大きく違うのは、「社労士のみが実務に直結する試験」ということです。
行政書士試験でも学ぶのは法律ですが、憲法や民法など、より大きな法律を広く浅く学びますので、実務にはほとんど関係ないことで知られています。
ですので、行政書士の勉強をしても、転職に直接有利にはなりません。
この点に関しては、中小企業診断士も同じです。
診断士は、会社の財務に関連する事項を幅広く学びますが、学んだからといって診断士の仕事ができるものではなく、多くの診断士は、自分の過去の職歴を活かしてコンサルティング業務を行っています。
社労士は大手の事務所が多くあるから。
また、社労士は法人化している事務所が多く存在します。
ですので、社労士資格を取得すれば、一般企業で働く他に、社会保険労務士事務所で働くという選択肢が生まれます。
一方、行政書士事務所や中小企業診断士の事務所は個人のものが多く、求人はパートしかないことが多いです。
ゆえに、資格取得直後から独立が余儀なくされ、苦労する人が多いです。
一方社会保険労務士は、先輩社労士の元で、修行をすることができます。
社労士事務所の求人は、社労士受験生や資格取得者が優遇されますし、一般パートの他に、社労士として育てようとする求人も目にします。
以上のことから、資格を活かした働き方やステップアップがしやすいのが社労士資格だと考えられます。
資格取得は簡単ではありませんが、それだけの価値のある資格です。
興味のある方は、トライしてみても良いでしょう。
ただ、前述のように「一発合格が必要で、法改正が多い」という試験の特性から、独学合格が難しいのも社労士試験です。
社労士試験に合格した管理人がお勧めするのは通信教育での資格取得です。
参考にしてください。
>>おすすめの社労士通信講座:比較ランキング。口コミ評判を合格者の管理人がまとめました。